誰に作品を届けたいのか
権威的なものが大嫌いです。
自分のバカは棚に上げて、たいしたことない癖に偉そうな奴を心底バカにしてます。
気が弱いおかげで表面上ぺこぺこしてますが、そのうちバレてしまいます。
そのせいでで昔から自分の居場所が定まりません。なんとなく筆で飯を食えてきたのは無駄に対応力があったせいと心ある人達のおかげです。
こういう性格ですと、昔から自分の作品の行き先も気になって仕方がありませんでした。
誰に作品を届けたいのかと言う事です。
学校出たての頃、画商さんがお得意様に紹介して下さるとのことでお宅をいくつか訪問させて頂いたことがありました。
お世辞にも良い趣味とは言えない部屋に雑誌でも置くかのように雑然と横山大観などのいわゆる巨匠の絵などが置いてありました。
実に愛情の無い感じで。
話をしてみると絵自体にはあまり興味の無いご様子。
虚勢をはるためか税金対策のためか(高額美術品の固定資産税は僕などには良く分かりませんが)「先人達が家族をも犠牲にして必死で描いた作品の行き着く先はこんなとこかよ...」などとピュアなバカさ炸裂させて腐ったりもしました。別に全てがこんな所に行く訳ではないのに(苦笑)とんだビンボっちゃま君です。
その反動ではありませんが、その後名前の出ない壁画や映像美術の仕事etc..になんのためらいもなく入って行く事となります。
作業のクオリティと時間とのバランスが大事な町場の仕事は思考よりも身体的な作業が重要で、ましてや共同作業での作品となるので「誰のためか」などというゴタクはまるで意識しなくなります。
でも捻くれてるバカ野郎は心のどこかで気になってしまうんですよね。
特に報酬の高い仕事はなんとも言えない気持ちになることが多いです。有り難いんですけどね。
お金の流れがううーん、ごにょごにょ....
貧乏人の癖にこう言うのが気になってしまう。
現在、偶然にも猫がウチに来た事によって猫作品を中心に活動するようになり、徐々に「作品を届けたい先」と「届いている先」が一致してきました。
猫愛好家さん達と付き合うと本当に面白いです。
家猫から外猫へ外猫から野生生物に、自然へと意識が向くようになり子供のころのように世界が自分と近くなった気がしています。10年程も鬱屈していた事がバカバカしくなります。
お金や虚勢、見栄のためでなく、動物保護などに真摯に向き合っている人のなんと多い事か。
そのような方達の元に僕の作品が届く事はとても嬉しいことです。
やっと「誰に作品を届けたいのか」が明確になった今、後は落ち着いて作品を作るのみです。ぐだぐだ言わず描け、作れです。
ああ、10年程もサボってた分頑張らないと。結構残り時間無いですね。
画像は少し前に作った「PREHISTORIC ANIMALS」マトリョーシカ
先史時代の動物マトリョーシカです。絶滅動物です。人間のせいで近年絶滅してしまった種も入ってます。
見事に売れ残ってるので来年の個展ででもこっそり出そうかなと。
それぞれの動物の手描き解説イラストブックレットなんか付けたら引き取り手があるでしょうかね?(苦笑)